イギリスを拠点とするXPand Logistics社は、世界各地でカスタマイズされた輸送および物流ソリューションを提供している。

中小規模の物流サービスプロバイダーである同社は、カスタマーサービスに重点を置くことで他社との差別化を図っており、陸上、海上、航空を問わず、あらゆる規模の顧客と貨物輸送に対して迅速で効率的かつ経済的な物流サービスを提供することに尽力している。

2000年に設立されたXPandのチームは、2017年までには、可視性とアカウンタビリティの向上を求める顧客の期待に応えるためには、業務を近代化する必要性があることを認識するようになった。そのためにはデジタル化が鍵となることを悟った同社は、手動のプロセスを排除してEメールを減らし、最終的には顧客に新たなレベルの可視性を提供するために、完全に異なる3つのシステムを置き換え、全業務をCargoWiseに一元化する決定を下した。

一元化されたプラットフォームがカスタマー・サービスに対するデータ駆動型アプローチを可能にする

XPand Logisticsの業務担当責任者であるNigel Clark氏は、顧客へのサービス向上のために同社がデータ駆動型アプローチへ移行する際に、なぜCargoWiseの統合機能が鍵となったのかを説明する。

「CargoWise導入以前は、オペレーション、通関、そして会計の3つの部門で異なるシステムを使用するという、非常に断片化したアプローチを取っていた。そのため、これらのシステム全体からデータを取得し当社ビジネスの状況を明確に把握することは、当社と顧客の両方にとって困難だった。多くのプロセスが手動で行われ、文書が画像化されることもなかった。だが現在当社は、貨物輸送や倉庫管理、3PLから会計、営業にいたるまで、すべてにCargoWiseを使用している。一元化されたプラットフォームへの移行により、大規模な統合と自動化、そして生産性の向上がもたらされた」

さらに、CargoWiseはクラウドでホストされているため、追加のデジタル機能とセキュリティ上のメリットが得られる、とClark氏は説明する。「CargoWiseを導入する前は、当社の事業所全体で物理サーバーを使用しており、それらをバックアップしなければならなかった。だがクラウドに移行したことで、サーバーがダウンしてももはやデータを失うことはない」

XPandのIT戦略マネージャーであるChris Pye氏は、データ駆動型アプローチへの移行は、物流部門で事業を展開する上で不可欠だと話す。「当社はデータをスマートに利用することで、大手企業と競合している。当社の顧客からは、貨物や倉庫、在庫のより詳細な情報を把握したいという要求がますます高まっている。そして当社は一元化されたシステムであるCargoWiseを使用して、顧客のためにこうしたデータを可視化し、追加サービスとしてサプライチェーン全体のあらゆる指標と共に提供することができる」

「CargoWiseのコンテナ自動化機能では、輸送ジョブに使用されるコンテナを登録することができる。キャリアによりマイルストーンが自動的に更新されるよう設定されているため、顧客のためにコンテナを追跡し、到着予定日時などあらゆる変更の通知が可能となる」

「またCargoWiseへの移行により、XPandと海外代理店とのやり取りも合理化された。eHubを使用した代理店とのコミュニケーションの設定はとても簡単だ。そしてワークフローの設定が完了すれば、あとは該当欄にコードを入力するだけで準備が整う。貨物を出荷する際には、代理店側もCargoWise上で当社と全く同じデータが確認できるため、貨物が仕出地を出発した際に仕向地の代理店が手動でデータを入力する必要がなくなる。逆もまた同様で、貨物が仕向地に到着した際にはその情報が当社の元にも届くため、当社はそれを顧客に通知することができる。シンプルかつ、当社ビジネスに大変大きな付加価値をもたらしてくれる」

XPandはビジネス全体で顧客関係管理(CRM)を導入した、とPye氏は述べる。これはつまり、問い合わせに始まり、それが営業案件、見積り、シップメントへと移行し、その後請求そして会計に到達するまで、最初から最後までのプロセスで同社がCargoWiseを使用するようになったことを意味する。

XPandのマンチェスター支店担当マネージャーであるMark Reid氏は、単一システムを使用する業務上のメリットを強調する。「CRMは見積りから最終納品にいたるまでのすべてのプロセスをカバーしているため、見積変換率や出荷変換率、そして収益性を監視することで、ビジネスの業績を包括的に把握することができる」

顧客中心のアプローチ

手動入力の必要性がなくなったことで、XPandのアカウントマネージャーは顧客サービスを改善するというコアビジネスに集中できるようになった。

「CargoWiseは当社の業務手続きを近代化した」とXPandに11年間勤務するアカウントマネージャー、Dan McNab氏は言う。「以前のシステムとプロセスは、主に手動またはEメールで行われていたため、ますます多くの顧客が希望する貨物の到着予定や全世界の在庫のオンライン追跡や可視性を提供できず、顧客の要求に追いつかなくなるリスクがあった。現在では、倉庫、出荷、および会計システムを1つのシステムに統合することで、当社の顧客はそのオンラインポータルを介して出荷情報をいつでも追跡および確認することができるだけでなく、データをエクスポートして情報に基づいた意思決定を行うことができる。これにより時間が節約され、Eメールも大幅に減少する」

自動化がビジネスの生産性と顧客の効率を促進する

データの一元化により、XPandは複数の自動化を実装できるようになった。これにより効率性が向上しただけでなく、マイルストーンの更新、税関申告、倉庫プロセスなど、XPandの顧客とその最終顧客のための貨物追跡能力が大幅に強化された。

Pye氏は、自動化により最も効率性が高まった分野の1つとして倉庫を挙げている。CargoWiseの倉庫管理システム(WMS)に備わった製品倉庫、中継倉庫、保税倉庫機能を組み合わせて、XPandは異なる顧客のニーズをサポートしている。

「Eコマースを利用する顧客に対しては、ジム機器などを住宅へ配送するのに、パレットを在庫に分割して梱包する必要がある。一方で、鉄鋼やアルミニウムなどの特大製品の大量注文を受けるエンジニアリング企業など、3PLサービスを利用する顧客に対しては、在庫を個々のユニットに分割する必要がない」

「顧客が注文を受けてから当社が商品を配送業者に渡すまでの時間が大幅に短縮した。その主な理由がWMSスキャナーの導入だ。これにより、商品をピッキングし梱包する速度が大幅に増加した。私が入社した当初は、倉庫はまだシステム化されていなかった。当時は、年間の注文処理数は何百単位だった。しかし現在は、CargoWise内で月に数千の注文を処理している。このことは、CargoWise導入以来、当社ビジネスがどれほど拡大したかを示している」

ShopifyやCin7などの顧客のeコマースシステムやその他の在庫管理システムとの統合もサポートされており、追跡、および全倉庫プロセスを通じた自動化が可能だ。

XPandは2020年に、BREXITによるEUとの間の全輸出入に関する通関手続きが新しくなったことに合わせて、通関業務サービスを開始した。輸送プロセス全体における完全な透明性を確保するために、自動電子申告と通関専用ポータルがCargoWiseを通じて行われる。顧客はXPand Logisticsポータルを完全な一体型ソリューションとして使用することもできれば、既存の輸送・追跡システムにシームレスに統合することもできる。

CargoWiseを介した通関業務は時間の大幅な節約になる、とMcNab氏は言う。「以前は通関業務に別のプラットフォームを使用していたが、データ入力の重複が多くあった。しかし今は、CargoWiseを介して各シップメントのデータが通関ファイルに取り込まれるため、2つのタブに追加の情報を入力するだけで済む」

イギリスにおける輸出入貨物通関処理システム(CHIEF)から税関申告サービス(CDS)への移行を反映して、CargoWiseの機能が既に更新されていたため、こうした変更に容易に対応することができた、とReid氏は言う。

「当社はマンチェスターに外部一時保管施設(ETSF: External Temporary Storage Facility)を保有している。ここでまだ通関許可が下りていない商品を一時的に保管し、本施設内で通関手続きを完了後、配送に出す。コンプライアンスを遵守しなければ、罰金が科される。当社はこのプロセスをCargoWiseの保税倉庫モジュールで行っている」とReid氏は説明する。

今後はNeoを活用してさらなる差別化を図る

顧客に卓越したサービスと最先端の物流ソリューションを提供することを目指すXPandの取り組みの一環として、同社は顧客のサプライチェーン業務における可視性向上を目的に設計された包括的なコマンドセンター、CargoWise Neoのテストとパイロット試験を行っている。

「当社は顧客に対してオープンな企業だ。CargoWise Neoの近代的なユーザーインターフェースは、当社の業績を測る出発日などのKPIを、顧客が自動レポート機能と共にリアルタイムで追跡するのを可能にする。これもまた、テクノロジーを使用して顧客サービスで他社と差別化を図るもう一つの手段だ」とMcNab氏は述べる。