英国に本社を構えるMetro Shipping社は、デジタルイノベーションに真摯に取り組んでいる。1981年に設立された同社は、2005年以来、ペーパーレス化を導入するフォワーダーとして事業を展開しており、設立当初は英国でわずか6人でスタートしたチームから、現在では全世界で300人を超える規模に成長し、インドには第2のデータセンターを構える。同社は、荷送人とサプライチェーン全体をつなぐ、柔軟性と適応性に優れたソリューションを提供している。

Metroの代表取締役社長であるGrant Liddel氏は、同社に13年間、グループ全体に至っては35年間勤務している。

「当社は極めて機敏で、非常に迅速な意思決定プロセスを採用している。それが企業文化だ。顧客の業務の進め方や、サプライチェーンと物流における彼らの目標を理解することに相当の時間をかけている。それは単に完成品や製品、部品を輸送するだけにとどまらず、協働的なアプローチを重視し、パートナーとして顧客と連携することである。当社は顧客の全体的な戦略と計画プロセスの一部なのだ」

Liddel氏は、急速な事業拡大や顧客からの要望、そして英国および海外にオフィスを開設したことで、従来のITシステムでは対応しきれなくなったと説明する。

「当社には、多機能かつ多拠点にも対応でき、継続的な拡張やデジタル化、技術開発の高速化にも耐えうるシステムが必要だった。こうしたことが当社が新しいシステムの導入を検討するきっかけとなった」

市場に出回るシステムを評価する際、Liddel氏はCargoWiseが既に大規模グループのあらゆる部門で効果的に使用されていたことに言及する。

「あらゆる輸送モードとさまざまな業務の多様な機能に対応できることも同様に重要だった。市場に出回る他のソフトウェアの多くは、海上輸送か航空輸送のどちらかに特化していた一方で、CargoWiseは非常にバランスの取れたソリューションであった」

MetroのシステムマネージャーであるBradley Darkes氏は、クラウドベースのソリューションへの移行は重要なステップだったと述べている。

「CargoWiseはクラウドベースであるため、当社が英国とインドにオフィスを開設するという成長戦略の一環において、その利点を最大限活用できた。CargoWiseが提供する機能は、当社の従来のシステムと比較して非常に優れている。さらなる利点は、自動化されたワークフローを可能にする「生産性加速および可視化エンジン(PAVE)」だ」

CargoWiseを使用してBrexit後の通関業務の合理化を実現

CargoWiseの導入は2020年のBrexitの時期とほぼ重なり、Metroは新たな収益源となる通関業務を展開する機会を得た。

通関業務マネージャーのNatalie Frost氏は、Brexitにより、かつては比較的簡単だったプロセスが複雑化したと説明する。

「Brexit以前はEU内における貨物輸送は非常に簡単だったが、ヨーロッパ内でのすべての輸送に対して税関申告が必要になったため、手続きが複雑化した。当社は、Brexit後に発生する膨大な申告処理に対応できるソフトウェアソリューションを必要としていた」

「CargoWiseの通関モジュールは、データとワークフローの自動化、申告書作成、システム内の関税情報との統合、情報プロンプトなど、当社に多くの利点をもたらしてくれる。これらすべてが手続きの迅速化とデータの正確性の確保に役立っている」

Frost氏はまた、リスクと罰則を最小限に抑えるために正しい分類がいかに重要かを強調する。

「CargoWiseの関税情報に紐づけられた分類により、さらなる確実性を得ることができる。追加情報の入力や特定の関税コードの使用が必要であることを知らせる小さな警告アイコンは非常に役に立つ。これにより、チームは安心して業務を行うことができる」

通関業務チーム全体にCargoWiseを導入する際のサポートとして、同社はPAVEを取り入れ、タスクを追跡するためにビジュアルボードを使用した。また、自動化のためのトリガーも開発され、顧客がMetroにデータを電子的に送信し、その後データの確認が行われたのちに、英国税関当局に自動送信されるようになった。

さらにはCargoWiseの導入により、同社チームはよりカスタマイズされたソリューションと独自のSLAを顧客に提供できるようになった。

「システムによって得られる正確さとスピードにより、通関業務において競合他社よりも迅速に顧客にサービスを提供することができる。また、レポート機能により、月間支出や他の重要なKPIに関する月次レポートも顧客に提供することができ、これまでよりも簡単に作成できるようになった」とFrost氏は話す。

学習と開発の機会

プロジェクトマネージャーであるSophie Moss氏は、通関モジュールの本稼働が同社にとって大きな学習機会となったと説明する。

「新しいチームで新たなソフトウェアを扱うという状況において、チームが新鮮な視点で業務に取り組んでくれたおかげで完璧に機能し、ドキュメントの自動生成、申告と請求業務の自動化を実現することができた。そして、通関モジュールの導入が完了した後、業務全体でシステムの展開を開始した。」

Metroでは、トレーニングと能力開発がビジネスの成功に不可欠だと考えている。現在、CargoWiseのすべての学習コンテンツがWiseTechアカデミーのオンライントレーニングポータルを通じて提供されており、Moss氏は必要な学習資料を簡単に見つけられるようになったと話す。

「単にシステムの切り替えを行うのではなく、社員がシステムを安心して快適に使用できるようにトレーニング計画やテストワークショップに多くの時間と労力を費やした。また、PAVEの導入も社員のタスクを非常に視覚的かつ明確に把握するのに役立った」

Darkes氏は、段階的な導入アプローチが、事業部門全体を初期段階から関与させる上で非常に重要であったと強調する。

「社員が常に関わり、関心を持ち続けることが非常に重要だ。そこで、事業部門の導入準備が整った時点で、トレーニングに重点を置いた。各事業部門には、個々の社員が業務を遂行するのに必要なトレーニングを受けられるように、請求書発行、キャリアへのブッキングメッセージの電子送信やその他の業務などのカスタマイズされたトレーニングを提供した」

事業全体における効率向上

Metroの専任CargoWiseシステムチームは、業務改善チームと密接に連携し、効率とチームの生産性を向上させるための新たな方法を常に模索している。

「WiseTechが現状に満足することがないように、私たちも現状に甘んじることはない。常に新しい機能があり、当社は常に業務を再評価し、新機能を最大限に活用して社員の効率を最大限に高めるよう努めている」とDarkes氏は話す。

「売掛金、買掛金、現金出納帳モジュールを含む会計モジュールを導入し、現在は顧客関係管理モジュールを使用して営業案件を記録している。次のステップは、PAVEを最大限に活用することだ。可能な限り多くのタスクを自動化したいと考えている」

CargoWiseを使用した、新たな業務のやり方を常に模索している、とFrost氏は語る。

「毎月、より簡単かつ効率的にできる新たな改善点や変更点を提案している」

効率向上の例として、彼女は次のように付け加える。「以前はオペレーターが最大で3日かかっていた400~500行の申告業務が、今では最大2時間で完了する。」

顧客もまた、改善されたデータからメリットを得ている。「単に輸送した貨物を示すレポートではなく、いつ出荷したか、いくら支払ったか、いつ通関が処理されたかといった情報も含まれている。CargoWiseのおかげで、顧客に提供できる詳細の内容が大幅に向上した」

自動化に頼ることで、Metroは人員を増やすことなく新たなビジネス機会を獲得し、取引量を拡大した。「効率という点において、CargoWiseの自動化、ワークフロー、そして機能性により、年間で約1万時間の作業時間を節約することができた。これはフルタイムスタッフ約7人分に相当する」とFrost氏は説明する。

Liddel氏は、CargoWiseを通じてさらなる効率化を実現できる可能性が常に存在すると指摘する。「現在、CargoWiseが持つ機能の75%を活用できているとすれば、効率を向上できる余地はまだ25%ある。そして、これは今後の開発やアプリケーションを考慮しない場合の話だ」

成長と拡大の兆し

CargoWiseの導入と社員のシステム適応を成功させるために、戦略プロジェクトディレクターであるAndrew White氏は3つの重要なアドバイスを挙げる。

「第一に、導入チームに手を抜かないことである。導入には膨大な作業量を伴うため、十分なリソースを確保することが不可欠である。第二に、社員へのトレーニングを徹底することである。本稼働の1週間前に土壇場でトレーニングを実施することを避け、トレーニングを正しく実施し、適切なトレーニングを受けるために十分な時間を与えることが重要である。そして最後に、テストを繰り返し行うことである。」

ビジネスの成長、そして効率と生産性の最大化こそが同社の原動力となっている。

「当社の最優先の目標は、ビジネスを可能な限り迅速に、ただし管理されたやり方で成長させることだ。それを可能にするのが、CargoWiseのようなオープンシステムだ。CargoWiseは我われを世界の他の地域と結びつけ、全員がこの単一システムの中で連携している。このシステムを可能な限り最良の方法で活用することが、今後1年から2年の大きな焦点となるだろう」とWhite氏は締めくくる。